実力派俳優の內野聖陽が、芹沢央氏の第三回野生時代フロンティ文學賞受賞作を大塚祐吉監督が映畫化する「罪の余白」に主演し、男手ひとつで育て上げた娘の転落死の真相に迫る父親役を演じていることがわかった。映畫としては異例といえる長期間のリハーサルを経た內野は、並々ならぬ意欲で11月1日から都內近郊での撮影に臨んでいる。 內野が演じるのは、大學で心理學を教える安藤聡。若い頃に妻を病気で亡くし、男手ひとつで愛娘の加奈を育ててきたという役どころだ。その加奈が高校のベランダから転落死してしまい、絶望の淵に立たされる。自分を責める日々をおくる安藤の前に現れた、加奈のクラスメートだった少女の協力により、悪の根源ともいうべき絶世の美少女?咲との命がけの戦いが始まる。 大塚監督と初タッグの內野は、「腳本にそこはかとなく漂うユーモアのセンスや人間心理の襞(ひだ)の描き方のうまさに感服し、さらに役者をそこに持っていく指示の出し方の的確さが素晴らしくて、全幅の信頼をもって現場でやらせてもらっています」と心酔した様子。さらに、「全身黒ずくめで、サングラスをかけた靜かな物腰から近寄りがたい恐ろしさを醸し出しておられますが、時折、光の加減でグラサンを通して見える優しげな瞳にやられています(笑)」と話す。 長期間のリハーサルを経ての撮入となったが、「リハはいいですね。現場で、より高いところからスタートできる。そして大塚監督の場合、カメラテストも兼ねているようなリハです。自分の演技を客観的に自己分析する時間を作ってくださるので、自分の足りないところ、もっとこうしたいのに出來ていないところとかをクールに突きつけられますね」と手ごたえを感じている。現場にも活気があるようで、「オーディションを勝ち抜いてきた主役級の女子高生たちは真剣で、とても素晴らしいと思います。現場スタッフのモノづくりに対する士気も高いですね。大塚組にはそういうモノ作りの覇気があります。嬉しい現場です」とコメントを寄せた。 「スープ 生まれ変わりの物語」や「FLARE フレア」で知られる大塚監督は、內野にオファーした理由を「友人の俳優の方から強い勧めがあり、出演されている映畫を拝見して、內野さんなら復しゅうに燃えながら葛藤する主人公を繊細に表現できると確信しました」と説明。それだけに、「自身の役だけでなく映畫全體を見ていて、他の役者さんのリハーサルも熱心に見學されていました。常に作品を良くするためにユーモアを持って気配りをされ、本當にお芝居が大好きな方なんだと思いました」と語った。 「罪の余白」は、2015年に全國で公開。